翠
山の緑─
草木で埋め尽くされた山の緑
所々に剥き出した岩肌
激しく陽光を反射(はじ)くその姿は
生傷を照らすが如く、とても痛々しい
その肌を優しく、柔らかく包み込む、山の緑。
水の碧─
時と同じように、絶え間無く流れる水の碧
藻が水中で繁っていることを知らせる、碧
綺麗に澄み渡り、底まで見通せる純粋さを
隠す、水の碧。
翠ではないもの─
秋の紅葉の色、果実の色。
水面(みなも)の端(はた)の無色。
そして、黄金色(こがねいろ)の陽光と、青空。
その如何なる色をも寄せ付けぬほど
やすらぎ、静けさ、平穏を与えてくれる翠。
母なる緑、荒涼たる碧。
翠で彩られた世界を美しく、
かつ居心地良く
感じることが出来る世界は
どんなに平和で満たされているだろう
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